前回はダウ理論のさわりを見ていただきました。
今回は少し深めにお伝えしたいと思います。
アップトレンドの場合

ダウ理論の定義は
・直近の安値が切り上がっている ①<③<⑤・・・・・・。
・直近の高値が切り上がっている ②<④<⑥・・・・・・。
これでダウ理論が完成になります。
そして⑤は③よりも高くなる可能性が高く、⑥は④よりも高くなる可能性が高い・・・・。と続いていきます。
注意点は、①~③が形成されただけでは、ダウ理論が完成したとは言えません。
あくまでも③から④に推移する段階で②の高値を上抜けた段階でに完成です。
上のチャートは先程説明した直近高値と安値を記したものです。ダウ理論をあてはめるとよくわかりますね。
・直近の安値同士が切り上がっている。
・直近の高値同士が切り上がっている。
チャートを見ればわかりますが、①の反発で入ることは、そのトレードに対してなんの根拠もないのであれば、到底エントリーしていくことはできないのがよくわかります。
もうひとつ例を紹介します。高値の切り上げから始まるパターンですね。下記のようなチャートでもダウ理論が完成したと言えます。

高値から数えることで、少し早めにダウ理論を認識することができます。
この場合④が安値であると認識できた時点でダウ理論の完成となります。
・ダウントレンドの場合

ダウントレンドの場合はアップトレンドの場合と正反対になります。
・直近の高値が切り下がっている ①>③
・直近の安値が切り下がっている ②>④
これでダウ理論が完成になります。
そして⑤は③よりも低くなる可能性が高い、⑥は④よりも低くなる可能性が高い・・・・。と続いていきます。
このチャートは2011年の2月~8月の下落を表示しているモノですが、およそ半年間、トレンドに乗っていれば利益を出し続けた、ということになります。
チャート上には表示していませんが、この通貨ペアは2009年の8月から下落を開始しており、もしもダウ理論を理解してトレードができていれば、何度か小幅なアップトレンド転換の動きも見せていますが、およそ2年間トレンドに乗ることができたはずです。
ダマシにあったら??
ダウ理論の優位性については後に述べますが、単に優位性がある、というだけで、必ずしもそのようになる、というわけでは当然ありません。
ダマシに合うことも必ずありますし、それは頻繁に起こりうることです。
では、そのようなとき、どのように対処すれば良いのでしょうか?

当たり前のことですが、損切りを設定しておけばいいのです。
図のように赤丸で一旦ダウントレンドのダウ理論が完成したため、売りエントリーした場合、その後上昇してダウントレンドのダウ理論が否定されるポイントは青丸、つまり直前の高値を切り上げたところになります。
つまりこれが、ダウ理論で売りエントリーした根拠が無くなるポイントです。

今までのシリーズでお伝えしているように、直近の安値に損切りを置くリスクの取り方であれば、
「①の安値からの反発」「③の安値からの反発」はそれぞれ安値までの値幅は低く、損切り設定までの値幅が小さい(シリーズ1参照)ので、よりリスクの少ないトレードができます。
逆に「②の高値を切り上げる」の場合、直近の安値までの値幅は大きく、トレンドが発生しなかった場合のリスクは損切りポイントまで前の値幅が大きいため、大きくなります。実は「③の安値からの反発」と損切りポイントは同じになります。
ただし、ダウ理論が完成しており、「①の安値からの反発」「③の安値からの反発」よりも上昇していくであろう優位性は高いのです。
(厳密に言うとそうではないのですが、ダウ理論でのトレードの場合、優位性が高いトレードをするのであれば、リスクは大きくなり、優位性が低いトレードをするのであればリスクは小さくなります。)
ダウ理論の優位性
高値と高値、安値と安値が共に切り上がれば、アップトレンド。
つまり、買っていけば利益を上げていくことができる、というわけです。
では、なぜ、そんなに高値の切り上げ、安値の切り上げが大事なのでしょうか?
高値の切り上げ、安値の切り上げは大事だということを読んで知るだけではなく、理解することで初めて活用することができます。
とても簡単です。ですが見落としがちです。
それは
「前回の安値を形成した時よりも今回の方が買いに回った人が多いから安値を切り上げた」
ということです。
もしも売りの方が多ければ相場が波打って形成されたとしても高値を更新することはできません。
その場合は買い方が多いので、その味方についた(買いエントリー)方が、利益をより簡単に得ることができます。
そして
「前回の高値を形成した時よりも今回の方が買いに回った人が多いから高値を切り上げた」
ということになります。
安値を切り上げただけでは買い方が一方(安値の切り上げ)しか助けておらず、更に高値を切り上げることでよりアップトレンドになる信憑性が高くなってきます。
そして、もう一つ、重要なことがあります。
下の図を見てください。

②以降に売っていて、赤丸の時点において売りポジションを保有している人は、全員損失を出しています。
つまり、この時点でその人は塩漬けにするのか、損切りをするのか判断を迫られます。
そして、損切りする人は買い戻し、つまり買いの注文を入れることになり、その影響で更に上昇することになります。
更に上昇し、高値を超えていけば、新たな新規買いを行う人も出てきて、そこからもう一段上昇。
そしてもしも赤丸の時点で損切りせずに塩漬けにしている人がいる場合、その後の上昇で強制決済により買い戻しを余儀なくされることが多くなり、更に上昇に拍車をかけることになります。
そして、④以後でも同じことが繰り返されたら・・・・・。
更にアップしていきますね。これが続く限りアップトレンドが形成されていく、ということです。
上記述べたように、ダウ理論の優位性はいつの時代もあるのでは?と私は判断しています。
一人ひとりの資金量はわずかなもの。そして大衆は常に間違っている、と言われるとおりですが、相場の参加者が同じ行動を取れば(大衆の総意には逆らえなかった)、相場を動かします。
「大衆は常に間違っている。」と言われますが、大衆の総意には逆らえなかったときにトレンドは発生する、ということです。
その原理を活かしているのがダウ理論ではないのでしょうか。
また、この高値、安値がより週足など、大きな足で形成されているのであれば、より大きな影響力を及ぼすことになります。